長期計画で母方の実家の仕舞いを考えてみた

「家制度」は1947年に廃止されたが、根底の考え方だけが未だに悪習として残っている。

「家長」は有名無実だ。

わたしの母方の家に「継ぐ人」がいなくなるので、私(女)が継ぐことにしてみた。

目的は、家を仕舞うため。

家を仕舞いたい経緯

母方には、母の弟(私からしたら叔父)とその妻がいるが子供がいないためいわゆる後を継ぐ人がいない。

家業的なものがあるわけではない。叔父は地方公務員だ。

家自体は、十何代続くのでぼちぼち古い。そして、土地を持っているので不動産を持っている。

叔父達の目標は、祭祀相続者がほしい。

  1. 家と墓を守ってほしい。
  2. 家を残してほしい
  3. 自分達の老後をみてほしい

この3つが叔父たちの望みだ。

母には弟(叔父)と妹(叔母)がおり、母と叔母には子供が複数人いる。私はそのうちの一人である。

叔父はその甥姪の中の誰かが継いでほしいと希望をだしているが、母も叔母も結婚を機に遠くへ行ったため、甥姪は田舎ではなく、それなりに都会でそだった。田舎の家と墓を守ってくれというのはその子の人生を左右することになるため言えずに来た。

しかし、甥姪たちも適齢期となり、どうにかしなくてはと思う一方で、言い出せない。

さらに、叔父の妻の立場のため後継の話を言えずに来たとのこと。

叔父と叔母は30代中頃?に結婚をし、恐らく不妊治療をしてきたが子供が授からなかった。叔母が40代になった時に後継の話となりそうだったが、皆が気を遣って20年弱放置してきたらしい。

その「気遣い」が今になって表在化してきた。

後継候補

現在、甥姪は、ほとんどが30代。結婚してる者も、子がいる者もいる。それぞれの土地で仕事をしているため田舎へはなかなか行けない。田舎のため仕事も見つかりにくい。

現在未婚として残っているのが、私といとこ(男、20代後半?)だ。

私は関東の都市、いとこは関西の都市で働いている。

このような状況で、田舎の家の跡を継いで、仕舞いをしようと思っている。

仕舞いたい理由

単純に跡を継ぐ人がいないなら仕舞ったほうがいいと考えたか。

潰すことは簡単。残す努力は?

潰すことは本当に簡単です。家を解いて土地を売って、そのお金を兄弟で分ければいい。しかし、それは母たちには心理的にできないことだろう。

そこで、とりあえず、誰も移住せず(人生を左右されず)にとりあえずやっつけでどうにかできないか考えてみた。精神的な問題は置いておいて、物理的な管理です。

また、実際に継ぐことになってもすぐに動ける者もいないので私の兄弟、いとこが定年になるまでの30年間をどうにかできないかと考えた。

✳︎老後のスローライフをするにはいいところだと思う(ただし、元気な老人の間)

墓守を外注:可能

お墓の実質管理はお寺や管理会社とのやり取りがあるので、実働を伴うが、いわゆる物理的管理は可能だと思う。

そもそも、都会では霊園や樹木葬などがありいつ行ってもキレイな場所がお墓なのだろうが、田舎の墓はそうではない。夏場なんて1ヶ月放置したら草だらけになってしまう。

✳︎墓はぼちぼち広いので一人でチャチャっととかって概念ではない。

そこで、そういうケアをしてくれる事業所がある。墓参りの代行まで行ってくれるらしい。

しかし田舎のところではそういった業者は見つからなかったので、シルバー人材センターで墓掃除の依頼ができるか確認したところ可能とのこと。

これで、物理的な墓守はOK

家は賃貸

家は築年も古いし、無駄にでかいし、増改築を繰り返しているので、誰かがちゃんと住む時には立て直した方がいいと思うが、それまでの間。

家は住まないとすぐにダメになってしまうらしい。だから建物を壊さず30年ほど待つなら賃貸に出して誰かに住んでもらうしかない。

ただ、その場合では賃貸に出せる程度に改修する必要は出てくる。叔父夫婦がいつまでいるか、次の者がいつ来るかによって可否は分かれるところだが、家は不可能ではない。

問題は仏壇と調度品をどうするか…その次住む人の家に動かすか?都会に住んでるものにとって邪魔だろう。ここは検討の余地あり。

不動産は管理会社へ

これは、今もお願いしてあるところに頼んでしまえばいい。

いま、敷地内の清掃は大家さん(叔父)が行っているが、これはお願いしたらなんとでもなる。家賃も手渡しの方もいるが引き落としか管理会社にお願いすればいい。

苗字は…

これが一番厄介。

男性の氏を結婚後使う人が96%の日本において、夫の氏でも、妻の氏でもないものを使うのは夫側、妻側からの心理的抵抗がありそう。「あなたと同じ苗字になりたい」ならばいいが、「あなたの苗字になりたい」は叶えられない。養子のタイミングによっては離婚していないのに苗字が変わる者も出てくるかもしれない(笑)

ちなみに、継ぐ人は叔父の養子となって氏を継ぐ予定である。

後世に「負担」を残したくない

誰かがどうにかしないと、あと30年程度で叔父の家は空き家となる。

空き家のまま放置した場合は特定家屋に指定されてしまう。

不法投棄が起きる→衛生上問題も

景観を損ねる

誰かが勝手に住んでしまう

犯罪の温床になる

母が先に亡くなればいいが、叔父が先に亡くなった場合廃れていく実家を母には見せたくない。ので、継ぐ人がいないものは処分するしかないと思う。

このように、自分ではできないから問題を先送りしている状況をどうにかしなければいけない。

そして、あまりにも田舎なのでそこに住まなければならない環境を残しておくことは後世に負担を残すことだと考える

故郷は心の拠り所的な考え

この考えはアリだと思います。やはり帰るところがあるのは人間の心の支えになると思う。

しかし、後継候補の私たちは誰もここに住んだことがないので、拠り所的なものにはならない。

誰かがやらなくてはいけない

こういった問題は誰かがやらねばならず、先送りしたところでもっと負担が増え、複雑になる。

例えば、うちの場合ではいまの候補者はまず自分ごとだと思ってないので、下の代になるとさらに感覚が希薄になる。

そして、意思決定する人数が増える可能性がある。いま子供がいる人たちだけでも子供の人数が4人いる。そして、新婚と未婚がいるので今後まだ増えていくだろう。そして、その時にはその子たちの親(配偶者)の意見が出てくる。

いまなら、未婚組がそれを込みで結婚すればなんとかなる(相手選びが難しくなるが)

自分は汚れ役にならず、責任転嫁する姿勢が不快

叔父の妻は今年たぶん60歳くらい。まぁ、もう、子供は難しいだろう。叔母が45歳くらいの時(15年前)に決めてくれたら私は十代半ば。

一番上の候補者で十代後半、一番下なら小学生だ。この辺りでしっかり説明を受けて、毎年話し合いをしていたらここまでこじれていないだろう。

この時点でこじれていること

祖母(母の母)は私に継いでほしいと思っていた、と思っている。

思っていると書いた理由は私だけではなく他の候補者にも同様のことを言っていたらしいから。

他の者も嫌とは言っていないため、「誰がやるのー?どうするのー?」という状況が15年近く続いていて、気づいたら都会で就職し、都会で人間関係を作り、結婚し、田舎へ行かなくなってしまっている。

そして、候補者それぞれ「自分がやるのかな??でも親も誰も何も言ってこないけど、どうしたらいいのかな?交際してる人にそのこと言った方がいいのかな?」ということになっている。

こじれた原因

叔父夫婦(特に叔母)に気を遣って、子供がいないことに伴う問題を誰も言えなかったこと。

生物学的に今の医療では40代半ばくらいで子供はかなり厳しいし、40代でも結構難しいという「事実」を元に誰も話をしなかった。

気を遣ったところで無理なものは無理なんだから、どこかで「現実」と向き合わなければいけなかった。

でも、それを先送りして、「自分達からは言えない」と時間ばかりダラダラと使ってしまったことが間違い。

無理なものは無理で、引かなければいけない線はどこかで引かないと。それによって誰かが傷つく。

自分達は悪者にならないように無駄に先延ばしにしたのに、誰かの人生を左右するとキレイゴトを言わないでほしい。

私がやることに意味がある

現時点での候補者は2人いる。私(30代前半、女)と、いとこ(Aくん。20代後半?男)。

二人とも未婚で、共に仕事は田舎でもなんとかなる系だ。

継ぐのはAくんでも全く問題ないのだが、Aくんだと二の舞を踏むのだ。Aくんに子供ができればいいが、できなかった時には、またAくんの妻(未定:仮名Bさん)の気を使い誰も言い出せないまま時が流れる。

だから、女の私だ。私が40代中盤になった時(10年後くらい)に、私に子供がいなければ、私が親戚に呼びかけて今後について検討すればいい。

その時、もし、私の兄弟やいとこたちに子供がいて、その子たちに継がせる意志のある親がいれば継がせればいい。

その時、一番上の子で20歳くらい。一番下はもしかしたら新生児がいるかもしれない。

どうしても誰かに継がせたいならばその親が子を出せばいい。

継がせるならば、将来苗字はこうなって、住むところはこうなると説明して同意を得ればいい。そうすれば大学の進路や就職先の時に考えればいい。結婚よりも前に決まるから、相手を考える時に決めやすい。(決まりにくいかもしれないが)

我が子を出すほどではないと判断したならばみんなで分けて仕舞えばいい。

子供が大きくなった時に意見を変えたならまた皆んなで話し合えばいい。

誰かが決断しなければいけないのだ。

そして、私の友人たちの話からも、妻に「不妊治療を諦めよう」とはなかなか言い出せないものらしい。

だから…

家に縛られることが時代に沿っていない

家制度自体は戦後に無くなったシステムなのに、概念だけが実を伴わず残っていることが時代に合っていない。

苗字にこだわらせたくない

先日韓国ドラマを見ていたら、名前からどこどこの家の何代目といった話が出てきた。

そういうように、名前にしっかりとしたシステムを伴わせて継いでほしいというならまだわかるが、叔父の家の苗字は日本中にいる。私も友人に何人かその苗字の人がいるが親戚ではない。

苗字に特に力を持たないもので、現在の日本では「家族・親戚かも」くらいの意味合いしか持たないものをどうしても残したい理由がわからない。

だが、継ぐにあたって、苗字にこだわりがないので私は叔父の苗字(母の旧姓)になっても特に問題ない。秘密のパスワードの一部で使っているなくらいのもの。

だが、結婚する相手(現状いないが笑)が嫌がった時のために、夫婦別姓制度があるといいなと思う。

そうしたら、相手は変えないで生きていけるのに。

墓のある場所で生活をすることが困難

墓のある土地が仕事があって生活しやすいところばかりだといいが、、、

東京から週末を使って墓参りに行こう!という距離・時間ではない。本当に墓を参ってすぐ戻らないと土日では無理。それに掃除や寺とのやりとりやなんだかんだを入れたら3連休でもギリギリだろう。

私の代まではどうにかするから、その後は散骨したり、合葬したらダメかな…本当に負担なのだが…

先祖との関わり云々、精神的なことを言う方や記事もたくさん読んだが、今のところ納得できるものはない。

その理由として、私の知ってる人が亡くなっていないと言うことはあるのかもしれない。

祖父は亡くなったが、私はまだ幼かった。祖母は健在。父母も存命。

両親を早くに亡くした友人は可能な限り月毎日と、命日、誕生日など折をみて参っている。

私がまだまだ子供だと言うことなのだろうか。

だが、それなら尚更、身近な人だけのお骨を近くで参れる環境の方が現実的で当人にとって心の支えになるのではないかと思う。

本末転倒だが、そこまでして「家を継ぐ意味がわからない」

たぶん、日本全国で起きている問題だと思うが、「家を継ぐ」という概念自体破綻していると考えている。

家とは?

他の人や記事で説明があるように、戦前では日本は家制度があった。

家長(多くは父親または夫)が長となり、家の中のこと一切に決定権があった。

妻は働きに出るのも許可が必要。子供たちは結婚をするにも許可が必要だった。財産も家長が全て管理し、妻の財産といったものはなかった。

今の世の中では、父親の許可がなければ結婚できないものではなく、両性の合意があれば結婚できる。

結婚したあと、みんなで仲良くできるかは別問題だが。そこをみんな仲良くやりたいから、「親の許可」を得るようにしたり、やってみたいからと「娘さんを僕にください」とやってみたり。

極論的に言えば、「この方と結婚しました。よろしく」でいいはず。

財産も、(配偶者がいない場合)子供の人数で均等割で、長男だからとか女だからと言ったものはない。

だが、今の世の中では結婚は自由にできて、財産もみんなで分け合う。仕事も許可などなくできるし、個人の資産を持つこともできる。

裏を返せば、今の父親たちに子供同士を結婚させる力もなければ人脈や実力もない。資産を運用させる能力も、妻を働かせずとも一生暮らせられる資産力をない。家業もなく、一代限りの 勤め人がほとんど。

こうなった時に「家」とは何を指しているのだろうか。

まとめ:ここまで嫌なのに継ぐことにした理由

いま、まだ実際に話がついていないので「継ぐ予定」が正確な表現だが、喉のつかえを取りたい。

記憶が正しければ小学生高学年の頃から祖母に言われ、中学生の時には私は将来継ぐものだと思っていた。

20年近く「継ぐもの」と思い込まされていたものをスッキリさせたい。

不動産がほしいという気持ちはもちろんあるが、それよりも、気持ち悪いものを解消したい。

都会に疲れたのも、コロナもリモートワークも営業の仕事ももちろん色々あるが、これが決まらないと私が結婚相手を決められない。

結婚した後に「実は家がこう言う状況で…」と言うことは私にはできない。

スッキリさせて、結婚するならする、できないからできない これでいいと思う。

そして、次の世代に負の遺産として残さない。

自分に言い聞かせる!

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